第3回 (2006/7/31)
映画化記念 ブレイブ・ストーリー特集
「汝は選ばれた。道を踏み誤ることなかれ」
『ブレイブ・ストーリー』 宮部みゆき
角川文庫(上巻) … P379
 何か、旅が始まったんだなって、しっくりくる言葉です。
 私がもし、"旅人"の立場だったら、気を引き締められる言葉だと思います。
織姫★ 14歳 女性 愛知県
「なんにも悪いことしてない人が不幸になるのは、神様がバカでナマケモノだからでしょ? そんな神様拝んで、おじさんつまらなくないですか?」
『ブレイブ・ストーリー』 宮部みゆき
角川文庫(上巻) … P237
 このセリフを読んだときは、笑い転げるほど心がスカッとした反面、何か辛い気持ちも感じました。
 この質問に答えるのは、一筋縄ではいかないだろうなぁ。
 何だかやるせない時に、思い出しては部屋の中で大声で音読しています。効果てきめんですよ(笑)。私の大好きな言葉です。
 …一度でいいから、神主さんに言ってみたいです。
杏 13歳 女性 北海道
「ワタルがわたしたちのこと心配するのと同じように、わたしたちもワタルのこと心配なの。わたしたちが一緒にいなかったせいで、わたしたちが全然知らない場所で、ワタルが命を落としてしまうかもしれないと思うと、たまらないの。怖いの。いてもたってもいられないの。だから、どんなに危険でも、一緒にいたいのよ。ついてゆきたいのよ。」
『ブレイブ・ストーリー』 宮部みゆき
角川文庫(下巻) … P201
 ミーナがワタルに言ったこの言葉がすごく心に残りました。ずっと心配して待つより、危険でもずっと一緒にいたい、ついていきたい。そんなミーナの気持ちがすごく伝わってきました。
マメ 13歳 女性 大阪府
「ミーナ、教えてくれたじゃないか。おいらに教えてくれたじゃないか。サヨナラの時、サヨナラって言っちゃいけないよって」
 涙を拭いて、ミーナは顔を上げた。「そうだっけ。そんなときは何て言えばいいって、あたし、パックに教えたの?」
 得意そうに胸をふくらませて、パックは答えた。「元気でねって!」
『ブレイブ・ストーリー』 宮部みゆき
角川文庫(下巻) … P460
 TVゲームのようなお話ということで ワクワク楽しい冒険を予想していたら、ワタルの現実はつらいもので、さらに冒険の世界も現実と同じようにつらいことがたくさんあります。それでもワタルが希望を失わずに歩き続けられたのは仲間がいたから。特にミーナの存在は読者にも救いになりました。
 冒険はいつかは終わるもの。別れがやってきます。涙を拭いてだまってワタルの幸せを祈るミーナたちに胸が熱くなるシーン、「元気でね」が忘れられません。
futaribocchi 49歳 女性 大阪府
「違うよ。僕は自分の運命を変えるために幻界にやって来たんだ。でも、そのためならどんな手を使ってもいいとは思わない。そうは思えないんだよ」
『ブレイブ・ストーリー』 宮部みゆき
角川文庫(下巻) … P285
 その通り。大共感しました。そしてワタルの幻界を守りたい気持ちがひしひしと伝わってきました。
竜君 11歳 男性 東京都
「お父さんは、お母さんと結婚したのがマチガイだって言ってるの? そしたら、お父さんとお母さんの子供の僕も、やっぱりマチガイなの? そういうこと?」
 明はかぶりを振る。「そうは言ってない。そういう意味じゃない」
「じゃ、何がマチガイなのさ? 僕にはわからないよ」
『ブレイブ・ストーリー』 宮部みゆき
角川文庫(上巻) … P283
 結婚も離婚も当事者の問題で、その理由までは子供には関係ない…そうはいっても、大人の理屈では子供は納得できません。これを読んだ時、胸が痛くなりました。ワタル自身の存在までが否定されたような、怒りとも憎しみとも悲しみともとれる台詞。読了までの間、私の心のなかはこのときの切なさでいっぱいでした。
Leo 45歳 女性 東京都
「間違いを繰り返しても、そこから引き返し、考え直し、生きて、懸命に生きて、また自分たちの道を切り拓いてゆくことにこそ意味があります。僕の幻界に、そのチャンスを、どうぞ与えてください。お願いします」
『ブレイブ・ストーリー』 宮部みゆき
角川文庫(下巻) … P437
 高校2年のとき毎日毎日夢中になって読んでいました。ワタルの女神にした願い、決断はそう簡単にできることじゃない。人は生きているかぎり間違いはかならずおこる。でもそれは自分自身を見つめ直すことになってまた新たな一歩を踏み出すことになる。ワタルは自分を変えることに気づく。だからこそワタルの決断は固く、強い。それがこのセリフに詰まっていると思います。このセリフは私にとっても大切な言葉です。私の胸に響きました。
翡翠 19歳 女性 愛知県
「最後にもう一度だけ、友達のよしみだ。さあ、逃げろ!」
『ブレイブ・ストーリー』 宮部みゆき
角川文庫(下巻) … P305
 現実世界にいたときは、ミツルとワタルは明らかに「友達」と言えるような間柄ではなかった。
 だけど幻界に来てからは、二人はお互いを「友達」として認識し、ライバルでありながらも時に助け合ってここまできた。

 小学生の彼らの語彙からは「友達」という言葉が選ばれたけれど、彼らの間にあるものは友情とは少し違うのではないかと思いました。一番近い言葉だと、「同志」でしょうか。
 ミツルにとっては、幻界の人々は所詮想像の世界の住人でしかなく、本当に生きている「人間」は、ワタル一人だけだったのだと思います。
 そんなワタルを蹴落としてでも叶えたい願いが、ミツルにはありました。それでも、むざむざとワタルを死なせることはできず、ミツルは最後にもう一度だけ彼を助けます。
 ミツルのこのぎりぎりの選択が胸に迫ります。
 過酷な運命の中、願いを叶えるためにたくさんのものを捨てたミツルが、ただひとつ持ち続けていたもの。それがこのセリフの中に見える気がしました。。
レイ 23歳 女性 千葉県
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