第16回 (2008/8/21)
夏休みスペシャル 怒濤の榎木津20連発!

コメント爺 爺より さあ、皆さんお待ちかね(?)の榎木津スペシャルじゃ!
20連発もやってしまうんで、スマンが今回は、ひとつひとつの投稿へのコメントは勘弁させてもらうでのー。(ワシも夏バテ気味なんじゃよ…)

 さて、皆さんもご存じのとおり、この「名ゼリフ大全」では、過去に掲載されたセリフでも投稿してかまわないことになっているんじゃ。 同じセリフでも、人によって感じ方が違うところが、ワシには非常に興味深い。
 これからも、カブリ上等で送ってくだされ〜〜〜。
 では。
 今回は、第8回にも載ったセリフから始めようかの。ロングバージョンもありますぞ。

「僕は君が嫌いだ」
『邪魅の雫』 京極夏彦
講談社ノベルス … P817
 いつも天衣無縫に振舞っている榎さんが、胆を括って赴き、想いを寄せていた彼女に対して告げたこの最後の一言が心に突き刺さりました。
 これは決別であり、現実から目を背けて逃げてしまった彼女を救うこのとできる唯一の言葉だったと思います。
 勝ち負けではなく、相手を思い遣る事ができたなら結末は違っていたのですね。
ユカ 27歳 女性 北海道
 一気にもってかれました。
 そのときの私は神崎宏美になっていました。切なくて切なくて胸が張り裂けそうでした。
もん 28歳 女性 埼玉県
「勝ち負けじゃないぞ」
「勝ち———負け?」
「善し悪しでもない」
 どう云う———意味?
「解らないようだな」
「え、榎木津君———」
「もう遅い」
「遅い?」
 いわないで。
「僕は君が嫌いだ」
『邪魅の雫』 京極夏彦
講談社ノベルス … P817
 彼女の様に、私も最初、榎さんが何を云っているのか解らなくて。何度も何度もその言葉を目で追い、頭に響かせ、気が付いたんです。
 誰かを想うと云う事だと。
 屹度、これを云った榎さんは辛かったんじゃないだろうかと思い、意味を理解したとき、思わず泣いてしまいました。
 誰かを想うときに、この言葉を思いだします。
鳴 26歳 女性 埼玉県

コメント爺 爺より ひとりでたくさん投稿してくれる人もいて、感謝感謝じゃ。
榎木津のセリフをこんなに選んでくれたアンダンテさん、ありがとう、助かったぞい。かっかっか。
 それではアンダンテさん4連発、いってみようかのー。

「今日これからー物語に終わりを齎すために、ある陰気な男がここに来ることになっているのです」
 それは、私の小説の文句だ!
『魍魎の匣』 京極夏彦
分冊文庫版 講談社文庫(下巻)… P141
 榎さんの、関君への愛情を感じます。
アンダンテ 31歳 女性 東京都
「あんた、なんでこんな奴に拘泥るんです? こいつはただの幼女強姦魔でしょう。あんたにはもう関係ない。もうどうでもいいじゃないですか」
『鉄鼠の檻』 京極夏彦
講談社文庫… P967
 恐らく菅野に対して、憎んでも憎みきれない思いであろう久遠寺翁に対する榎さんのお言葉。
 後ろ向きな性格の私にとって、この言葉は目の前がパアッと開けた様な感覚でした。
 まるで、—どんなに辛い事でも過去は過去、終わってしまった事をいつまでも引きずっていてはいけない—そんな風に榎さんに励まされた様な気がしました。
 救われた一言です。
アンダンテ 31歳 女性 東京都
「大して付き合いのない弁護士がひょっこり出て来て、生活能力がないとか自己実現性がないとか自閉的で社交性に欠けるとか発音が不明瞭だとか健忘症だとか脂性だとか云う方が余ッ程厭だろうに!」
『塗仏の宴 宴の始末』 京極夏彦
講談社文庫… P770
 自分は関君対して「サル」だの「馬鹿」だの言いたい放題ですが、第三者が彼を愚弄することは許せない。
 何だかんだ言っても、榎さんは関君に対して愛情(?)を持っていることがよーくわかります。
アンダンテ 31歳 女性 東京都
「面白くないのは面白がらないからだ。面白いと思えば大抵のものはオモシロい。面白がれない疾でもあるまいに」
『邪魅の雫』 京極夏彦
講談社ノベルス … P448
 物事を批判するのは簡単なこと。肯定的にとらえるのって、中々難しい。
「私の美学には合わない」とか「私の感性ではない」とかカッコつけるけれど、要するに何かと理屈をつけて面白いと認めない、認めたがらない依怙地な自分・・・。
 この榎さんの言葉の様にポジティブで素直な心でないと、確かに大抵のものは面白くないし、また、少しでも面白いと感じることができない。
 私は、今までの自分の生き方・考え方が間違えていたように思えました。(反省します)
 目からウロコなお言葉です。
アンダンテ 31歳 女性 東京都

コメント爺 爺より 世界一の自信家で傲慢。そのくせ時に驚くほどカワイイ。 榎木津の人気の秘密は、この辺にあるんじゃろうかのう……・。
 暴言、屁理屈、悪態、自画自賛、とにかくいろいろ集めてみたぞい。

「これ、僕の」
『魍魎の匣』 京極夏彦
分冊文庫版 講談社文庫(中巻)… P189
 さすが榎さん。爆笑としかいいようがないです(笑)。
なお 14歳 女性 愛知県
「この肛門親子が!  あのな、僕が偉いのは全て僕のお蔭なのであって、親父なんか爪の先程も関係ないぞ。  うちの親父が困ろうが踊りを踊ろうが僕が知ったことではないし、僕が増長するのは僕が探偵だからだ!」
『百器徒然袋—雨』 京極夏彦
講談社文庫 … P222
 親父が偉いから僕が偉いんじゃない。僕が偉い探偵だから偉いのだ、そんなこともわからんのか肛門親子、の意。
 胸がすっとするとは、こういう事だろう。意味不明な言い回しで、こんなにも立派なことを言ってしまうなんて。これが榎木津の最大の魅力だと私は思う。
 肛門親子なんて単語が、一体どこから生まれたのやら分かったもんじゃあないし、親父に踊りを踊らせる必要も全くない。けれどそのコミカルさ抜きでは、榎木津節は成立し得ぬ。彼自身をよく表した一言であると思う。
 ちなみに、私は初めてこの榎木津のお馬鹿な帝王学発言を読んだ時、言いようのない嬉しさで胸が爆発しそうだったのを覚えている。これはもしや恋というものでしょうか、京極先生(笑)。
京ゆり 18歳 女性 京都府
「馬鹿者。この僕に平伏さぬ者がどこの世界にいると云うのだ。この世に行きとし生ける凡百者どもは悉くこの僕に帰依するのがこの世界の決まりだ! 僕は誰にも頭を下げないが僕に頭を下げぬ奴は誰もいない!」
『百器徒然袋—雨』 京極夏彦
講談社ノベルス… P67
 帝王・ 榎木津以外にこのセリフが似合う人はそういないと思います。
 人生に1度は言ってみたいセリフNo.1です。
又兵衛 16歳 女性 愛知県
「それに苦労したのはその男の人も同じでしょう。寧ろ苦しんでいたのはその人の方で、あなたは単に面倒臭くって厭だっただけだ。第一苦労苦労と云うが、結果の出ない苦労はただの無駄です。努力が必ずしも報われることはないし、報われぬ努力は賛辞に値しない!それは無能と同義なのです。無駄で無能です!」
 榎木津はひと際大声で続けた。
「努力せずとも成績が良ければ称えられ、努力しても至らなければ称えられることはない、それが世間の道理です。努力だけでも賞賛されると云うのなら日本は五輪で必ず金賞牌を獲っている筈だ!」
『絡新婦の理』 京極夏彦
講談社文庫 … P377
 受験生なので、このセリフにはビクリとしました。
 やはり、私のような凡人は報われるまで努力をするべきなのだろうと思います。
 頑張ります。
あめふらし 17歳 女性 長野県
「お腹がぺこぺこのぺこちゃんだ!」
『百器徒然袋—雨』 京極夏彦
講談社ノベルス … P455
 通勤車内であるにもかかわらず、笑いをこらえることが出来なくなりました…。
K子 29歳 女性 大阪府
「それのどこが解決なんだ。何も解決していない! 悪人連中が悪の信念曲げて謝って、そこの人が悲しい想いを曲げて納得して、そっちの人が怒りを曲げて我慢して、何が解決だ。(中略)そのうえ一番悪い奴だけ我慢しないんじゃないか」
『百器徒然袋—雨』 京極夏彦
講談社ノベルス … P70
 ご存じ破天荒探偵・礼二郎の台詞です。
 彼が出てくるまで益田が被害者家族に事態解決の妥協案を説明していました。内容は、加害者たちに謝罪をさせる、でも首謀者だけは無理だから諦めようというものです。
 この話を聞いているうちに自分も、適当なところで蹴りをつけて嫌な過去から抜けた方がいいよなぁ、という気分になっていました。その流れをぶっ壊したのが上の台詞です。
 たしかに!言われてみれば何も解決していない。耳障りのいい言葉とオトナの判断、そんなものに騙されない礼二郎の飾らない台詞が胸に刺さりました。
 さすが神!(笑)。
順風児 27歳 男性 三重県
 神無月は眼を見開いて青木を見て、それから恐る恐る榎木津を見上げた。
 榎木津はにこりと笑った。
「潰す? 誰を?」
『百器徒然袋—風』 京極夏彦
講談社文庫… P521
 役者が違うって感じでいかにも神・榎木津!
 最高です!!!
 こんなセリフが似合うのはやっぱ榎木津センセーだけです。でも木場修でもある意味いいかなぁ〜。
 いずれにしても榎木津・木場修ともに大好きな僕にとっては最高のセリフです!
 その後に青木が「榎木津さんが構う程の相手じゃないですよ」っていうのも、読んでて思いっきり頷いてしまいました。
 これからの殲滅神・榎木津センセーに激期待です!。
かっち 24歳 男性 埼玉県
「あんた、そんな状況でも保身を考えたのか? まず人命が第一だろう! 錯乱した梗子さんを保護し、藤牧の命を助けようとは思わなかったのか!」
「おもわなかったよ!」
『姑獲鳥の夏』 京極夏彦
講談社文庫 … P511
 榎木津の台詞に反発してしまう自分がいます。
 自己保身のために醜く卑怯に生きることの何がいけないのか?我が身が一番可愛いのは当たり前ではないか?と。
 私は、榎さんに軽蔑されても仕方ないような考え方をしてしまうのです。
 しかし、自分がそういう哀しい部分を持っていることを認めることは必要だと思います。開き直りとは違うのでしょう。自分には、内藤さんのような性質が確かにある。それは曲げられない事実です。
 その事実を認めた上で、これからはどう生きるのか。それが一番大切なのかもしれません。
内弁慶 16歳 女性 愛知県
弱気なことを云うなこの臆病者。心配するな。この僕が味方だ」
『塗仏の宴 宴の始末』 京極夏彦
講談社文庫 … P787
 榎木津に味方だと云われれば、大概のことは切り抜けられる気持ちになります。
 でも、それは榎木津が云ったからなのかというと、そうではないのかもしれません。
 大事なのは、『心配するな』と云ってくれる人がいるということ。
 そんな友人の存在は、中禅寺のように慎重な人間でさえも動かすと云うことなのです。多分。
しょうぐん 21歳 男性 北海道

コメント爺 爺より 身内の下僕扱いと罵詈雑言。そこに「愛を感じる」人もたくさんいるようじゃ。
  最後は「そこまで言うか!」的なセリフで締めてみることにしたぞ。

「わははトリちゃん。僕とこの馬鹿修は、今まで挨拶代わりに何千回となく闘って来たのだ。さっきのも、こんにちはと云う意味だ!」
『塗仏の宴 宴の始末』 京極夏彦
分冊文庫版 講談社文庫(下巻)… P239
 ぐふふ…☆ まさに榎木津!
 言っている事はむちゃくちゃだけど、やっぱり気持ちはつながっているんだなぁ〜って思っちゃえる台詞だと思うのですよ!
zashikiwarashi ??歳 女性 埼玉県
「わははははは。そいつの顔を見たな?見たんだな。その男は北九州の古墳から出土した土偶の一種でマチコさんと呼ばれる気持ち悪い馬鹿だ。御覧の通り口許に締まりがないから、長く喋っていると口の横に泡が溜まってとても汚らしいのだ。ぐぶぐぶ云うから良く見るがいい!」
 そう云われてもしゃがんで見入ると云う訳にも行くまい。。
『百器徒然袋—雨』 京極夏彦
講談社文庫 … P257
 榎木津さんのセリフの中で、とにかくこれが一番好き。何百回読んでもここで笑ってしまいます。なんだか気分が晴れない時もこれを読めば一発で、気分が晴れちゃうくらいです。
 北九州って、土偶って、ぐぶぐぶって・・・。
 待古庵、気の毒すぎますが面白いです。
 それにしても、榎木津さんの待古庵の扱いはある意味関口さんなんかよりよっぽどひどいですよねぇ。
 けど、これからもめげずに頑張れ、マチコさん!。
まちこ 30歳 女性 神奈川県
「〜〜兎に角僕の苦労は」
「黙れマスカマダ。エチオピヤ語で言え。僕を誰だと思っているんだ!」
『百器徒然袋—風』 京極夏彦
講談社ノベルス … P164
 下僕への愛を感じる台詞…! 羨ましい。
 どの台詞を選ぶかとても迷ったけれど、益田君との掛け合いが特に好きなので選びました。金欠時に本屋で立ち読みをした時、この台詞でブフっと吹いた事を思い出します。ここにも出ている様な、「僕を誰だと思っている」系列の台詞も大好きです。榎木津さんの言葉は、不思議(←!)と周りを和ませてくれるんですね。ひと事件あった直後でも、瞬時に安心できます。いち読者の私までもが。
 また、中禅寺や下僕達と一緒に居る、こういうひと時の榎さんが寛いで、心から安心しきっているのがわかります。大好きなシーンです。
 そういえば去年のクリスマスに、何と榎さんが夢に出てきてくれたのですが(よく見えなかったけど美男子でした)、灰色の壁を蹴破って現れた彼は三人の悪党から私を救ってくれました。乙女心悶絶のプレゼントをありがとう神よ!(もう台詞関係無い)
 もう来世は益田君になります。…京極さんが何と言おうとなるんです。探偵社で働くなんて、何て羨ましい下僕なんだーーー!!
山椒 16歳 女性 岩手県
「おいお前。お前、真実のバカオロカだな。ロイヤルバカオロカデリシャスだぞ。長くて面倒だからナキヤマでいいな」
『邪魅の雫』 京極夏彦
講談社ノベルス … P656
 ロイヤルでデリシャスな新しさにぐっときました。
 そしてそれをあっさり捨ててナキヤマにもどるどうでもよさ。さすがです。
trico 39歳 女性 東京都
「ふふふ」
「は?」
「君はサルと知り合ったな! そうかぁ。どうだ、この男、馬鹿でしょう。だが、人だと思うから馬鹿に見えるのだ。サルと思えばこれは物凄いことだぞ。喋る天才ザル! 下手だが字も書ける!」
『百器徒然袋—雨』 京極夏彦
講談社文庫 … P635
 榎さんは毎回関口君の事を馬鹿にしますが、その中でもお気に入りの台詞です。
 褒められてるのに喜べないこの台詞。
 でも榎さんの暴言はちゃんと愛情あってのものだと思うので、毎回毎回楽しみにしています!
 特に関口君と益田君は酷い言われようです。
 新刊の暴言がどんなものか今からわくわくしています。
瀬戸内かな 19歳 女性 千葉県

コメント爺 爺より 20連発、楽しんでいただけたかの〜〜〜。
ワシは正直言って、疲れたわい。
 榎木津の毒気に当てられたような気分じゃよ(笑)。

  この「名ゼリフ大全」は、 皆さんからの投稿だけが頼りなんじゃ。
  ワシとしては、京極堂や木場なんかの特集もやってみたいし、山椒大夫の『新宿鮫』や安寿の「時代小説」からのセリフも集めてみたい、という野望を、ひそかに抱いていたりしてな。
 ま、そんなワシの野望はともかくとして。
 これからも皆さんよろしくお願いしますぞ!

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