第6回 (2007/6/8)
爺、定住!
「ヴェスナ・エスタ・ホリシア。ヒトの子の生に限りはあれど、命は永遠なり」
『ブレイブ・ストーリー』 宮部みゆき
角川スニーカー文庫(第4巻) … P279
(カッツのシーンでも出てきましたが)
 ミツルは、魔法が使えてなんでもできたけど、最後の最後に自分を受け入れることができなかった。それでも、このシーンで 罪を重ねたことを悔いていると、ワタルに言って、認めたんです!・・・やっぱり泣ける。
いちご 13歳 女性 東京都

コメント爺 爺のコメント いちごさんは反省もでき心からの謝罪もできる人なんだな。ワシのようにジジイになってしまうとなかなか素直にはなれんのじゃ。今の素直な気持ちをいつまでも持ち続けてくれんか。

「—慥かにお前様の仰る通り、哀れむと蔑むは同じこと。可哀想にも様ァ見ろも同じことさ—」
『嗤う伊右衛門』 京極夏彦
単行本/中央公論社 … P72
 又市とお岩さんの会話シーンのほんの一部分なのですが、この部分を読み、改めて自分を振り返ってみると、確かに相手に同情しながらも、自分はあの人よりましだとホッとしている部分が有りました。又市の台詞で、一番ズシンときた言葉です。
モコ 24歳 女性 大阪府

コメント爺 爺のコメント 一部を切り取るとひどいことを言っておるな。確かにそのとおりと言えなくもない。でもその後続くセリフを読むと、又市が本当に言いたかったことが見えてきて、又市のことがもっともっと好きになる爺なのですじゃ。モコさんもそうじゃろ?

「人間は愚かだが素晴らしい、と兄貴はいった。人間に生まれてよかった、とな。あんたも、もしこの次生まれかわるときは、そんな余分な力のない人間に生まれてみることだ。そうすりゃ、人間のよさがわかるだろうよ」
『一瞬の街』(眠りの家) 大沢在昌
単行本/勁文社 … P39
 人間として生きてこそ、のセリフです。生まれて大沢在昌さんの小説に出会えて良かったと思える瞬間でした。
nob 49歳 男性 東京都

コメント爺 爺のコメント 不思議な力ってのはやっかいなもんじゃ。この短編を読んで、ワシにこんな能力がなくて良かった〜っと心底思ったもんじゃが、最後のこのセリフで本当に救われた気分になったわい。まさに名ゼリフじゃのう。
 余談じゃが、勁文社単行本(nobさんからはノベルスとなっとったが、編集者S氏曰く、単行本扱いじゃそうじゃ)から引用してくださったnobさん!1989年発行(18年前!)の単行本をお持ちいただいていると想像するが、大沢がブレイクする前(永久初版作家と呼ばれていた頃じゃ)にこの本をお買いになっていたとしたら、お目が高いッ! ワシが持っているのも初版本じゃが、nobさんのももちろんそうじゃろ?

「言葉ってのはな、通じる人間と通じない人間がいる。どう思っていようと通じなけりゃそれまでだ。お前さんの言葉は、通じ悪いんだよ」
『魍魎の匣』 京極夏彦
講談社ノベルス … P596
 俺の言葉も通じ悪いようだ。
 あの人にこの思いが伝わらない。
 言葉ってのはそんなに難しいものなのか?
たま 44歳 男性 大阪府

コメント爺 爺のコメント たまさん、思いをうまく言葉であらわすのは、難しいことだと爺も思いますじゃ。
 ただ、伝えることにうまいへたは無いはず、伝える側の気持ちの有りようが、肝要と思うんじゃがのう…ほんと感情を言葉でいうのは難しい事じゃ。

「守、親父さんをお前の言い訳にしちゃいけない。どんなことにも言い訳を見つけちゃいけない。そうやって生きていけば、いつかきっと、親父さんの弱さと、弱い親父さんの悲しかったところがわかるときがやってくる」
『魔術はささやく』 宮部みゆき
新潮文庫 … P112
 いっぱいある作品の中で私はコレです! 私は自分の人生の言い訳を他人にしてたかなと反省しつつ、『じいちゃん』このセリフを心の支えにしてます。けっこう友人にも言って聞かせてます。
小桜もも 32歳 女性 東京都

コメント爺 爺のコメント 爺も責任転嫁や言い訳が多い奴は嫌いじゃ。ももさんにはこの流れがしっくりときたようで……。これからも広めてくだされ。

「有名になって金ができて、昔の女房や恋人を捨てるのはたいてい男」
「女が昔の男を捨てるとしたら、それは自分が利口になって、今までつきあっていたのがさほどのものじゃないと気づいたときよ」
『氷舞 新宿鮫VI』 大沢在昌
カッパノベルス … P145
「ママフォース」のゲイのママが鮫島に言った台詞。
 至言です!
はぎはぎ ?歳 女性 東京都

コメント爺 爺のコメント はぎはぎさんは編集が得意な方とみたぞ。ママと鮫島の会話をうまく抜いてつぎはぎ?で名セリフに仕立ててくれた。爺も至言に同感じゃわい。

父はふと真顔になり、それから妙に自信たっぷりの口調で、こう言った。
「そうさな……おまえが作家になれるかどうかは、俺にはわからねえ。だが、おまえは間違っても人間のクズなんかにはならねえよ。何があったって、他人様に迷惑をかけるような人間にはならねえ。それは俺が保証してやる」大丈夫だ、安心しな—きっぱりと、そう言った。
『スナーク狩り』 宮部みゆき
光文社文庫 … P55
 これを読んだ直後に、父親から同じようなことを言われたので印象に残っています。わけあって仕事を辞めた時だったのですが、「何故辞めたんだ、これからどうするんだ」と怒られるかと思っていたので意外でした。親に信頼されているというのはありがたいことだなあとしみじみ感じました。
spoon 36歳 女性 新潟県

コメント爺 爺のコメント 子供に言うには少し照れくさい言葉じゃが、同じような言葉をきちんとspoonさんに伝えたお父上は立派なお人じゃな。お父上に対してspoonさんもありがたいと感じられるというのは、真っ当な生き方をなさっているということじゃ。
 爺とバアさんもお互い信頼しあってるからこそいまだにラブラブなんじゃよ……なんつってな!

「それでは伺いましょう。意味があることにどんな意味があるのです? 得があることや、救いがあることや、根拠のあることは、損をすることや救われないことや無根拠なことより勝っていると云うのですか? そんな事は無いでしょう。だからあなたに兎や角云われる筋合いはない。この世に起きている限り—それは日常です。この世には—」
「—不思議なことなど何もないのです堂島さん」
『塗仏の宴—宴の始末』 京極夏彦
講談社ノベルス … P629
 姑獲鳥の夏を読んでから、自分なりにこの台詞の意味をずっと考え続けていました。
 きっとこの言葉は、私の中に少なからず影響を及ぼしたんだと思います。
 それぞれの巻で発せられるこの言葉がどの場面でも一番好きな台詞なのですが、二番目に気に入ってる上の台詞と同時に発せられたということで、「塗仏の宴」の方に投票させていただきます!
氷雫 17歳 女性 大阪府

コメント爺 爺のコメント このセリフを投稿してくる人は多いのじゃが、 氷雫さんはどんな影響をうけたんだろうか。ナンにも考えずに年とったワシにはこの世の中わからんこと、不思議なことばかりじゃ。特に男と女のことは良くわからんし不思議なことばかりじゃ。

「すぐれた人間は、運も味方にする」
『不思議の国のアルバイト探偵』 大沢在昌
講談社文庫 … P19
 涼介親父の宿敵のライバルのセリフ。身の不運に嘆く中年にとっては厳しい言葉ですが、逆にこの言葉を信じて生きてきたお陰で今日の自分があるように思います。ストレス解消のために読んだアクションノベルから座右の銘を得たことを笑う友人もいますが、私にとっては如何なる哲学書の内容よりも深い一言です。
Yokohama_Middle 40歳 男性 神奈川県

コメント爺 爺のコメント 運が無いと嘆きつづけてきたワシには、お前には努力が足りんかったのだと言われているようで痛い言葉じゃ。どんなところから得ようとも心に残るものは残る、これまた真理なんじゃろう。

「逢いたかったとか、久し振りとか、せめてこんにちはとか—そう云うことを云うものだろう」
『邪魅の雫』 京極夏彦
講談社ノベルス … P817
 私はこのセリフを読んだ瞬間に榎木津礼二郎に惚れました。いつもの彼らしくないセリフだと思ったからです。榎木津礼二郎といえば、一般的な枠に当てはまらない奇人変人ですが、このセリフを言ったときの彼は普通の男性に思えました。あまりにも意外で、でも急に榎木津礼二郎が身近な人物に思えて、このセリフが心を貫いたんです。同時に私は失恋気分になりました。あの榎木津礼二郎からこんな意外なセリフを言わせる人物がいるのか、と思うとショックでした。好きになったと思った次の瞬間、失恋させるなんて・・・榎木津礼二郎・・・罪作りな人だ。
ユキカ 34歳 女性 沖縄県

コメント爺 爺のコメント 普段破天荒な榎木津の口から出てきたこのセリフは確かにワシも切ない想いになったのう…。そして悲しいいのう。涙したシーンじゃったな。失恋気分にさせてしまうなんて、ホントに罪つくりな榎木津じゃな。ユキカさんの榎木津への思いが伝わる投稿じゃなぁ。

「……俺は一人でいい」
 意地を張っているのではない。ミツルだから、最期までミツルらしくふるまうだけ。死にゆくときも。
『ブレイブ・ストーリー』 宮部みゆき
角川スニーカー文庫(第4巻) … P277
 このシーンはやっぱり感動しました。一番泣いたトコです。
 ミツルは、自分の願いを叶えるためにたくさん悪いことしちゃったけど、彼は一番頑張って生きたと思います。現世でも幻界でも。
 自分は間違ってたと認められたのは、ミツルのことを信じてくれたワタルのおかげかな。
 最期にアヤちゃんに逢えてよかったね。ミツル。
いちご 13歳 女性 東京都

コメント爺 爺のコメント いちごさんの優しさが伝わってくる投稿じゃのう。ミツルはアヤちゃんにに会うことができているといいのう。自分の間違いに気づき、それを認めることというのは大変勇気がいることでじゃからな。
 ミツルの中のブレイブ・ストーリーは、このシーンからはじまるのかもしれないのう。

「よし。じゃあ是蔵を殺そうぜ」
『アルバイト探偵 拷問遊園地』 大沢在昌
講談社文庫 … P169
 本当は162ページから169ページの全部を投稿したかった。どのセリフが一番好きかと考えたとき、結局単純な一言に全てが集約しているように思えてこのセリフを選びました。
 涼介親父は酒も煙草もナンパもOKという放任主義者ですが、息子が本当の窮地に陥ったとき、自分の命をも省みず助けに向かう父親です。男としての自信を完全に失った息子に対し、何をすれば救われるのか明快な手段を示し、どんなに困難であっても一緒にそれをやろうとあっさり言えちゃうところが凄いですね。
Yokohama_Middle 40歳 男性 神奈川県

コメント爺 爺のコメント 目の前の危機に立ち向かおうとする時、それが自分の息子と一緒だったこの瞬間。さらっと息子にこんなセリフが言えてしまう涼介親父はホントにかっこいいのう。普段はどうしようもない不良親子がかっこよく見えてしまった瞬間じゃったな。

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